「マンゴと黒砂糖」上映企画書 私の故郷は、南洋の島"サイパン"です! 61年前のあの戦争で、サイパン島では、日本人55,000人が生命を落としました。その中に私の父と二番目の姉もはいっています。二人はサイパンの何処で亡くなつたかわからず、「爆風で足をやられた姉を父がおぶって歩いていたのを見たのが最後だ」というやつと生還した叔父が、「『この辺で死んだのだろう』と思って取つて来た」と持つて来てくれた砂が、我が家の墓には入っています。私にとってサイパンは、父と姉の悲しい思い出とともに、忘れることができない南洋の島です。 数年前ＴＢＳで放送された「ここがヘンだよ日本人・終戦スペシャル」では、「大好きだった叔母や従姉妹もここから飛び込んで自殺をした」と聞かされていたサイパンの「バンザイクリーフ」、太平洋戦争のサイパン玉砕の時にたくさんの人が飛び降り自殺をなさつた悲しい場所を、「バンジージャンプの場所」だと思ったという若者の答えに、論者達はしばし沈黙、日本語の達者な外国人のハイテンションな「トークバトル」が続いたものでした。 この番組を偶然見ていた私は悲しくてたまらず、誰方かサイパンの玉砕の事を映像で残して下さらないだろうか?と思い続けている中に、やつと30才の若い女性監督鯨エマさんにめぐり合い、ドキュメンタリー映画「マンゴと黒砂糖」を撮つて頂いたのでした。あの南洋群島のサイパン・テニアンで戦火に追われ、なんとか生き延びた人達、高齢になつた戦争体験者の慰霊墓参団の記録映画です。 今年は思いがけず、天皇・皇后両陛下がサイパン島の慰霊の旅にお出掛けになられる前に、この映画を御覧下さったとの事で、とても嬉しく思つています。既にあちこちで観て下さった戦争を知らない若い方達が、「そんな事があつたなんて知らなかつた。観てよかった。」と言って下さっているとの事で、立川でも上映してもっともつとたくさんの方達に観て頂きたいと思い、何人かの方々に助けられながら動き出しました。どうかご支援の程よろしくお願い申し上げます。 2005年10月5日　ドキュメンタリー映画「マンゴと黒砂糖」を観る会 　　　　　　　　　　　　　　　　　代表　江崎　甲

　　　　　　　　（2006/03/12）
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